マーケティングの仕事は、企画、制作、配信、分析まで幅が広い。AIツールはその一部を肩代わりするが、全部を1本で賄えるものは少ない。工程ごとに効く7本を選んだ。
工程ごとに道具が要る
マーケティングは1つの作業ではない。企画を立て、素材を作り、記事を書き、広告を回し、結果を分析する。工程が違えば、求められる精度もスピードも変わる。だから万能の1本を探すより、各工程の弱点を補う道具を組み合わせるほうが現実的だ。
選ぶときの軸は、既存の流れを置き換えられるか。新しいツールを足すたびに作業が増えるようでは本末転倒になる。ここでは、制作、執筆、SEO、広告、分析といった工程ごとに7本を並べた。
工程別AIマーケティングツール7選
料金は2026年9月時点の月額、個人または少人数向けプランを基本にしている。
ツール | 提供元 | 特徴 | 料金 |
|---|---|---|---|
Canva | Canva | 素材制作を一式 | 無料、Pro月15ドル |
Jasper | Jasper | ブランド文体を保つ執筆 | 月39ドルから |
Surfer | Surfer | 記事の検索最適化 | 月99ドルから |
Semrush | Semrush | 調査と広告分析 | 月139.95ドルから |
AdCreative.ai | AdCreative.ai | 広告クリエイティブ生成 | 月39ドルから |
Hootsuite | Hootsuite | SNSの一括管理 | 月99ドルから |
HubSpot | HubSpot | 顧客管理と自動化 | 無料、有料月20ドルから |
Canva:素材づくりをまとめる
バナーやSNS画像を手早く作りたい人へ
Canvaは、画像や動画の素材を作る作業を1つの画面にまとめたツールだ。テンプレートを選び、AIで背景を消したり画像を広げたりできる。SNS投稿、バナー、簡単な動画まで対応する。
強みは制作の速さにある。デザイナーに依頼するほどではないが、見栄えは整えたい。そんな日常的な素材を自分で作れる。
凝った表現や印刷物の細かな指定には限界がある。本格的なデザインが必要な場面は、専用のソフトに譲ることになる。
- メリット
- 素材制作を1つで完結
- テンプレートが豊富
- AIでの画像編集が使える
- デメリット
- 凝った表現には限界
- 有料素材は別途必要
Jasper:ブランドの文体を守る
複数人で文章のトーンを揃えたい人へ
Jasperは、企業の文章を一定のトーンで書き続けるためのツールだ。あらかじめ文体や言い回しを覚えさせると、誰が書いても同じ印象の文章が出る。広告文やメール、記事の下書きに使える。
強みは一貫性にある。担当者が変わっても文章の印象がぶれにくい。複数人で運用するチームに向く。
生成された文章はそのままでは物足りない。事実の追加と、人の手による調整は欠かせない。
- メリット
- ブランドの文体を維持
- 複数人でも表現がそろう
- 広告文やメールに好適
- デメリット
- 生成文は加筆が必須
- 価格は高め
Surfer:記事を検索に合わせる
ブログ記事の順位を上げたい人へ
Surferは、記事の内容を検索に合わせて整えるツールだ。上位記事が扱う語句を集め、自分の記事に足りない要素を点数で示す。書きながら評価が見えるため、推敲の指針になる。
コンテンツSEOを回す現場で力を発揮する。分析と執筆の間を行き来せずに済むのが利点だ。
被リンク分析や技術的な監査は範囲外だ。記事の中身に絞った道具と割り切る。
- メリット
- 記事をその場で採点
- 不足語句を具体的に提示
- 執筆と推敲を1画面で
- デメリット
- 被リンク分析は非対応
- 上位プランでないと本数が限られる
Semrush:調査と広告を分析する
競合の動きまで把握したい人へ
Semrushは、キーワード調査、順位追跡、被リンク分析に加え、競合の広告まで調べられる総合ツールだ。どのキーワードで誰が広告を出しているかを把握できる。
強みは範囲の広さにある。自然検索と広告の両面から、競合の集客を分析できる。施策の優先順位を決める材料がそろう。
価格は高く、機能を使い切るのは難しい。目的を絞って契約しないと元が取れない。
- メリット
- 自然検索と広告を一括分析
- 競合の出稿を把握できる
- 施策の優先順位を付けやすい
- デメリット
- 価格が高い
- 機能が多く使いこなすのに時間が要る
AdCreative.ai:広告の素材を生成する
広告クリエイティブを量産したい人へ
AdCreative.aiは、広告用の画像やバナーをAIで生成するツールだ。商品情報を入れると、複数のパターンをまとめて出力する。成果が出やすい配色や配置を提案する機能も備える。
強みは本数の確保にある。広告は試行回数がものを言う。人が1点ずつ作るより、多くのパターンを短時間で用意できる。
生成される素材は当たり障りがないものが多い。ブランドの個性を出すには、人の手による調整が要る。
- メリット
- 広告素材をまとめて生成
- 成果を意識した提案がある
- 試行の本数を稼げる
- デメリット
- 素材が没個性になりがち
- 調整は人の手が必要
Hootsuite:SNS運用を一括管理
複数のアカウントをまとめたい人へ
Hootsuiteは、複数のSNSアカウントを1つの画面で管理するツールだ。投稿の予約、コメントへの対応、成果の確認をまとめて行える。AIが投稿文の提案や、反応の分析を補助する。
強みは運用の集約にある。複数の媒体を並行して動かすとき、画面を行き来する手間が減る。
投稿の自動化はあくまで補助だ。反応の良い投稿を生むのは、中身の企画そのものになる。
- メリット
- 複数SNSを1画面で管理
- 投稿予約と反応分析
- 投稿文の提案がある
- デメリット
- 価格は高め
- 企画そのものは担わない
HubSpot:顧客管理と自動化
見込み客を追いかけたい人へ
HubSpotは、マーケティングと営業、顧客管理を1つにまとめたプラットフォームだ。AIがリードを仕分け、メールの下書きを作り、キャンペーンと顧客を結びつける。
強みは情報の一体性にある。広告や記事で集めた見込み客が、そのまま顧客管理の中に入る。集客から商談までを1つの流れで追える。
本格的な機能は上位プランに紐づく。小規模なら無料の範囲でも始められる。
- メリット
- 集客から商談まで一貫
- 無料で始められる
- メール作成のAI支援
- デメリット
- 本格機能は上位プラン
- 顧客数に応じて料金が上がる
ツールを足す前に工程を見直す
AIツールを入れれば、マーケティングが自動で回るわけではない。まず、自社の集客がどこで止まっているかを見極める。記事は書けているのに読まれないのか、広告を出しても反応がないのか。詰まっている工程が分かれば、入れるべき道具も決まる。
道具は少ないほうがいい。同じ工程に2本入れると、使い分けの判断に時間が取られる。まずは1つの工程を1本で回し、明確に足りないと感じたときだけ次を足す。
数字は追いすぎない。広告の反応も検索順位も日々動く。週単位で大きな流れを見て、悪化していれば施策を直す。その程度の緩さが、長く続けられる。
工程別の選び方
こんな工程を強化するなら | おすすめ |
|---|---|
素材制作を速くする | Canva |
文章のトーンを揃える | Jasper |
記事を検索に合わせる | Surfer |
調査と広告分析 | Semrush |
広告素材を量産する | AdCreative.ai |
SNS運用をまとめる | Hootsuite |
顧客管理と自動化 | HubSpot |
まずは自社の集客が止まっている工程を1つ選ぶ。その工程に効くツールを1本だけ、無料か最安のプランで試し、実際に手間が減るかを確かめてから広げればいい。






