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Gemini 4 Carbonはなぜ一般公開されないのか サイバー防御を優先するGoogleの判断

Googleが10月28日に発表したGemini 4 Carbonは、総合ベンチマークで首位に立った。ただし触れられるのはFairwindに参加するサイバー防御の組織だけだ。

佐藤健太佐藤健太
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Gemini 4 Carbonはなぜ一般公開されないのか サイバー防御を優先するGoogleの判断

Googleが10月28日に発表したGemini 4 Carbonは、同社が「最も強いフロンティアモデル」と位置づけるモデルだ。ただし最初に触れられるのは、サイバー防御を担う一部の組織に限られる。

Gemini 4 Carbonはどんなモデルか

米Googleは10月28日(現地時間)、新しいフロンティアモデル「Gemini 4 Carbon」を発表した。フロンティアモデルとは、その時点で各社が持つ能力の上限を示すために作る大型モデルを指す。発表はGoogle DeepMindのSVPでGoogleのチーフAIアーキテクトを務めるKoray Kavukcuoglu氏の名義で、同社ブログに掲載された。「最も強い」はGoogle自身の位置づけであって、第三者が検証した結論ではない。

押し出されているのは2つの能力だ。サイバーセキュリティと、数日にわたって動き続けるエージェントとしての働き。Googleの内部チームはCarbonを数日間連続で走らせ、大きなコードベースの中から不具合の原因を探し、うまくいかない手を捨てて修正コードを書くところまで到達したという。これはGoogleの説明であり、外部が同じ条件で再現した結果ではない。

なぜGemini 4 Carbonはサイバー防御の組織に先に渡るのか

Carbonの提供先は、まず「Fairwind Program」に参加するサイバー防御の組織に限られる。FairwindはGoogleが運営する選抜制のプログラムで、開発者、企業、一般の消費者は後回しになる。

Googleは、現場からのフィードバックを集め、悪用を防ぐためのガードレールを調整したうえで、できるだけ早く広く開放するとしている。具体的な日付は示していない。先行提供の期間がどれだけ続くのかは、現時点で示されていない。

Gemini 4 Carbonのベンチマークはどこまで信用できるか

Googleが公表した数字は3つある。脆弱性を探すSEC-bench Proで88.2%、攻撃手法を試すExploitGymで54.8%、脆弱性の分類を扱うCWE-benchで71.0%。いずれもGoogleの集計で、同社は発表した17行のベンチマークのうち15行で最高値を記録したとしている。

第三者の評価も出ている。Artificial AnalysisのIntelligence Index v5.0で、Carbonは推論を強めに設定したときに59点を獲得し1位になった。2位はClaude Opus 5.5の58点、3位はGPT-6 Astraの57点。前世代のGemini 4 Argonは50点だった。

すべての項目で上に立ったわけではない。Googleの表でも、OpenAIが1つのソフトウェア工学テストで上回り、Anthropicが1つのコンピューター操作の評価で上回っている。首位は総合スコアの話であり、あらゆる作業で最速という意味ではない。

Gemini 4 Carbonに残った弱点

独立系のテストでは、CarbonはArgonよりコーディングと知識作業で明確に上回る。その一方で、専門性の高い一部のタスクでは競合に劣る。事実知識を問うテストでのハルシネーション率はArgonより高い。ハルシネーションとは、根拠のない内容をもっともらしく生成してしまうことだ。

サイバー防御の判断のように、間違えたときに被害が大きい用途では、この差は無視できない。点数が伸びたことと、安心して任せられることは別の話である。

Gemini 4 Carbonの料金はArgonと同じ

Gemini APIでの導入価格は100万トークンあたり入力2ドル、出力10ドル。キャッシュに入った入力には95%の割引が効き、実質0.10ドル程度まで下がる。キャッシュとは、同じ前提文を何度も送るときに費用を抑える仕組みだ。

脚注には、導入期間のあとは入力4ドル、出力20ドルになると書かれている。Argonの提供開始時と同じ体系で、Argonの導入価格は11月30日までとされている。Carbonの導入期間がいつ終わるのかは明示されていない。長期の予算を組むなら、4ドルと20ドルのほうを前提にしたほうがいい。

Argonの一般提供から15日という短さ

Carbonが出たのは、Argonの一般提供開始から15日後になる。Argonは9月30日に発表され、10月13日に一般提供が始まったばかりだ。しかもArgonも、発表の時点ではFairwindの参加組織に先に渡されている。

Argonのドキュメントには、共有コンテキストが100万トークンを超えること、出力の既定上限が6万5536トークンであることが書かれている。テキスト、画像、動画、音声、PDFの入力や、関数呼び出し、コード実行、構造化出力にも対応する。Carbonの発表には対応するAPI仕様の記載がないため、同じ制限が続くのかは確認されていない。

Gemini 4 Carbonはいつ誰でも使えるようになるのか

では、いつになったら普通の開発者が触れるのか? 時期は示されていない。GoogleのAntigravityを率いるVarun Mohan氏は、社内で最も難しいタスクをAntigravity上でCarbonに解かせていると述べた。公開はFairwind経由で広げたあと、Antigravityの展開に合わせて進むという見通しになる。

技術レポートは出ていない。パラメータ数も、新しいアーキテクチャを採り入れたかどうかも明らかにされていない。判断材料は、Googleが公表したベンチマークと、第三者による追試だけだ。防御側の現場でどう使われ、どんな取りこぼしが出たかが、次の材料になる。

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