WalmartがAIエージェントによる代行購入を解禁へ、アカウント内に「Agent Profiles」を導入
Walmartは来月から、AIエージェントがユーザーに代わって同社サイトで買い物することを認めると発表した。エージェントごとに独立したプロファイルを設け、購入は原則ユーザーの承認を経る仕組みだ。Amazonがエージェントを遮断するなか、真逆の路線を打ち出した。
米小売大手のWalmartは、来月からAIエージェントがユーザーに代わって同社のサイトで買い物することを認めると発表した。Walmartの発表によれば、開始は11月を予定している。ユーザー側で事前の設定が済めば、あとはエージェントが商品を探し、カートに入れ、購入まで進める。利用の入口は、Walmartのアカウント設定になる見通しだ。
仕組みの中核は、アカウント内に新設される「Agent Profiles」だ。ユーザーが接入を許したエージェントは、Walmartアカウント内でそれぞれ独立したプロファイルを持つ。エージェントによる購入記録は、ユーザー本人の購入履歴と分けて確認できる。誰の判断で何を買ったのかが、後から辿れるようにする配慮だ。家族でアカウントを共有していても、エージェントの履歴が本人の買い物と混在しない。
コントロールの要は承認の設計にある。デフォルトでは、エージェントによるすべての購入にユーザーの承認が求められる。一方で、予算内なら自動で買う設定も可能だ。たとえば100ドル以内の買い物なら、いちいち承認しなくても進められる。自主性の範囲を、金額の上限というわかりやすい形でユーザー側に委ねる構想だ。
プラットフォーム側のルールも同時に示された。エージェントは買い手の意図を超えた操作をしてはならず、ユーザーの支払い方法を勝手に変更することもできない。アクセスできるのは、タスクの達成に必要な情報だけに限られる。ルールに従わないエージェントは、Walmartがブロックする。
Walmart | Amazon |
|---|---|
AIエージェントの接入を公式に受け入れ | PerplexityやMetaのエージェントを遮断 |
この発表が際立つのは、業界の対立軸が公開になった点だ。Amazonはこれとは真逆の道を選んできた。同社はこれまで、PerplexityのショッピングエージェントやMetaのMuseを遮断してきた。TechCrunchは同じ日に「AmazonがAIエージェントをブロックする一方、Walmartは歓迎の玄関マットを敷く」という趣旨の記事を配し、両者の路線の違いを対比させた。Business Insiderも同日、Amazonがボットをブロックする一方でWalmartが機能を追加すると報じている。
2社の違いは、エージェントを「外部からの侵入者」と見るか、「新たな顧客接点」と見るかの差だ。Amazonは自社サイトでの第三者エージェントの介入を認めず、独自の体験を守る道を選んだ。Walmartは逆に、規則と承認という枠を設けた上で、エージェント経由の購入を自社の売上につなげる計算である。どちらが正解かはまだ分からないが、選択肢が現実のものになったことで、他の小売りも対応を迫られることになる。
背景にあるのは、エージェントによる購入(agentic commerce)という流れの加速だ。OpenAIはInstant Checkoutに類する機能を展開し、MetaのMuseではエージェント経由の購買単価が200ドルを超えたとの指摘もある。そのなかでWalmartは、大規模小売として初めて、エージェントを受け入れる体系的な枠組みを作った存在のひとつになる。エージェントを遮断するか、飼い慣らすか。小売業界の対応は、ここから分岐しつつある。






